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普通の会社員がSFCカードを持つ意味は本当にあるのか?メリットとデメリットを比較。

投稿日:2020/01/03 更新日:

この記事はANAのスーパーフライヤーズカード(以下SFC)が、普通の企業人にとって、どのような恩恵をもたらすか研究したものです。

私のスタンスとしては「無理してまで持つ必要もないのかな?」というのが率直な感想です。

陸マイラーブログですすめるほどメリットばかりではありません。

1年間たくさん海外旅行をしてSFCを獲得した旅ブロガーの私が、SFCカードを持つことのメリデメをちょっと冷静にまとめてみました。

目次

普通のサラリーマン目線でSFCカードを持つことを考えたら結構デメリットが多かった

SFCカードことANAスーパーフライヤーズカード。

一度持てば年会費を支払い続ける限り、ANAとスターアライアンスの上級会員相当のサービスを享受できる、夢のようなカードです。

JALのJGCと双璧をなすものであり、会員資格を求めて飛行機に乗りまくる「マイル修行」というフレーズが、巷にも出回り始めました。

このように主客転倒な事態が起こるのは、ひとえにSFCのメリットが非常に大きいからなのですが、本当に無理してまでSFCを持つメリットはあるのでしょうか?

取得までに50万から60万、維持費に年間1万円程度の「原価」がかかります。

この原価と対比したとき、デメリットが浮上してきます。

わざわざ修行して上級会員になった人はそもそも仕事で飛行機に乗る機会がないので、無理して持っても仕方がない

SFCカードを持つためには、最低限ANAのプラチナステータスに到達する必要があります。

一言で述べましたが、ANAのプラチナステータスを取得するのは、本来たくさん飛行機に乗ならくてはならないのです。

そうして、マイルとは別に貯まる「プレミアムポイント」を50,000ポイント貯めた人だけがプラチナ会員となり、プラチナ会員以上だけが、SFCカードを申し込めるのです。

しかもこれ、1年間で達成する必要があり、わずか1ポイントでも足りなければ翌年度は一からやり直しとなります。

こうして得たSFCカード。私の例でいうと、年間14フライト(アジア国際線)、60万円程度の出費でした。

飛行機出張の多い人は修行するまでもなく上級会員になれるのですが、そうでない人が年間10回も20回も飛行機に乗る機会はありません。

つまり普通の人は無理して飛行機に乗ることになるのですが、無理やりSFCカードを取得した後からは、普通の暮らしに戻るわけです。

それこそ、年に1回乗るか乗らないかの生活ですね。

そうなると、航空会社の優待資格って何の意味があるのでしょうか?

SFCカードを持つのも使いこなすのも、もともとのライフスタイルが飛行機と深くかかわっている人が有利なのは間違いありません。

陸マイラーブログでは修行という名目で男性的な虚栄心を煽ってきますが(ついでにポイントサイトをすすめてきますが)、今飛行機を使っていない人は、SFCカード取得後の使い道を考えた後に取得を検討すべきです。

持つためにも、持ってからもお金がかかるんですよ?本当にちゃんと考えたほうがいいです。

年会費無料のエポスカードでも決済手段としての機能は変わらないのですから。

空港サービスの中で実際使ってメリットがあるのはラウンジくらい。ほかの特典は人を選ぶ

SFCカードの特典は覚えきることが難しいほど多岐にわたりますが、全部が全部利用すべきかというとそうでもありません。

たとえば優先チェックインカウンターの利用。

いくら他の搭乗客よりも優先されるとはいっても、チェックインカウンターを通る時点でオンラインチェックインの速度には遠く及びません。

預け荷物があるとき以外は、カウンターを利用すべきではないのです。

また、SFCカードを持っていると、降機したあと預けた手荷物を素早く回収できますが、そもそも機内に荷物を預けていなければ待ち時間はゼロです。

個人旅行なら手荷物を預けないほうが、何かとスムーズに空港を出ることができますので、預け荷物のプライオリティタグサービスも、この時点であまり利用しないサービスになりがちです。

あとは専用保安検査場の存在ですが、2020年1月現在、国内線でSFC会員が専用保安検査場を利用できるのはわずか3か所です。

国際線にいたっては、羽田空港と成田空港のみという限られた範囲で利用できる特典なのです。

保安検査場を利用するのは、初回搭乗時と乗り継ぎ時ですが、本当に混むのは初回搭乗時です。

つまり、初回搭乗時に羽田か新千歳か福岡か成田を利用しないと、専用保安検査場を使えても意味がないのです。

中部国際空港や関西空港、伊丹空港に那覇空港など、その他の主要空港が本拠地という人にとってはメリットが薄いです。

また、アップグレードポイントなる制度があり、エコノミークラスからビジネスクラス、ビジネスクラスからなんとファーストクラスへのアップグレードができます。

しかし、格安航空券などではそもそもアップグレードポイントは利用できず、正規の非常に高額なチケットを買わなくてはならないので本末転倒です。

ANAもしくはスターアライアンス便に乗る限り、ラウンジの利用が確約されているのは大きな魅力ですが、それ以外の特典は使う人を選ぶと言わざるを得ないでしょう。

SFCがいつまで現行の優待内容を維持してくれるかわからない

私はSFC会員の特典が永久に続くとは考えていません。

SFC自体は「永久のステータス」でも、ステータスの内容まで永久不変とは一言も書かれていないからです。

事実、2020年は国際線プレミアムエコノミーへの無料グレードアップという、大きすぎる特典が廃止されました。

ラウンジに置かれている食事類だって、徐々にグレードを下げる可能性もあります。

それもそのはず、一度約束したら絶対にサービス内容を変えません!などという宣言は、企業にとって博打でしかありません。二言はないという点で、非常に男らしくはあるのですが。

そもそもの背景は日本の空港と全日空のインフラに、物理的な限界があるからではないでしょうか?

SFC会員に一度なると、年会費を払い続ける限り準上級会員となるため、普通に考えたら会員資格を手放すことはありません。

つまり、年々会員が増えていってしまうわけです。

利用してみるとわかるのですが、航空会社のラウンジが快適なのは、利用者数に対して席数が余っているからです。

羽田空港国際線のANAラウンジが空いているところを、私は見たことがありません。

シャワーは数時間待ち、軽食置き場は人でごった返し、ラウンジ利用に慣れていない人が居酒屋気分で騒いでいます。

ビジネスクラスやプレミアムエコノミーの使用者や、スターアライアンス提携エアラインの利用者も肩身が狭い思いをしています。

みんながみんな上級会員のサービスを使うようになってしまうと、本来の上級会員やビジネスクラス利用者の満足度が下がってしまうのです。

一方、空港のラウンジや優先搭乗レーンなどは、ホイホイ拡充できるものではありません。

こうなってくると、既存のお得意様を守るため、SFC会員の特典に対して制限を加えたり、相対的にサービス内容を落とすことも想像できます。

「永久のステータス=永久に素晴らしいサービス」でない以上、SFCの制度改変リスクこそが最大のデメリットです。

出張の少ないサラリーマンがスーパーフライヤーズカードを持つメリット

さんざんデメリットばかり書きましたが、普通の会社員でもSFCを使いこなす場面はあります。

元を取れるかどうかは人次第ですが、そもそも元を取るという発想自体捨てたほうが、色々使い道が思い浮かぶかもしれませんね。

海外旅行好きなら世界最大の航空連盟でVIP待遇を受けることができる

もちろん、海外旅行が好きな人はSFCを取得するメリット大です。

ANAは世界最大の航空連盟であるスターアライアンスに属しており、SFC会員はスターアライアンスのゴールドステータス相当の待遇を受けることができるからです。

海外のラウンジは日本に比べて入室できる人が非常に限られているためか、広々とした空間で特別待遇を満喫できるでしょう。

一億総中流と言われて久しい日本に比べて、まだまだ海外は貧富の差が激しいです。

外国ではお金を持っている人とそうでない人が、明確に区別されるので、ステータスを持った人間は非常に厚遇してもらえます。

ことの是非はさておき、世界の真実として覚えておいて損はないでしょう。

旅行や出張で家族や同僚にもメリットが行き渡る

SFCカードは家族の飛行機旅行に大きな恩恵をもたらしてくれます。

ANAスーパーフライヤーズカードは、家族会員にも同等の権利が付帯するからです。

ラウンジならSFC本会員もしくは家族会員1名ごとに、1名の同伴者を連れて入室できます。

結婚している人なら、夫婦のうちいずれか一名がSFC会員なら、家族カードを配偶者に持たせれば、子供2名まで一緒にラウンジを利用できるのです。

家族旅行だけに限らず、たまの出張で同僚や上司を招いたり、結婚していなくても友人や恋人をつれて入室できます。

通常、ラウンジを利用できるのはプレミアムエコノミーやビジネスクラスからですが、旅行者複数人分の上級チケットを買いそろえるのは、非常にハードルが高いです。

持った本人だけでなく、周りの人まで恩恵を享受できるのがSFCカードの大きな強みなのです。

スカイチームの上級会員になれる、デルタAMEXゴールドカードと比べて優る点のひとつですね。

もっとも、デルタAMEXゴールドカードは、マイルをためなくても即時スカイチームの上級会員になれる、常識はずれのカードなのですが。

単身赴任で北海道から道外に来ている人には非常に有効

先にも述べましたが、2020年1月現在、国内線でSFC会員が専用保安検査場を利用できるのはわずか3か所です。

これだけ見ると、意外に大したことがないかと思われますが、非常にニッチな、それでいてありがちなシチュエーションに置かれた人にとっては、とても大きなメリットがあります。

すなわち、北海道からの単身赴任などで新千歳空港の国内線をよく利用する人です。

答えは単純で、新千歳空港の国内線保安検査場が非常に混みあうからです。色々見て回りましたが、日本で一番混む検査場ではないでしょうか?

北海道から東京などに単身赴任で訪れているお父さんなどは、仕事で飛行機を使うわけではないのですが、新千歳空港の混雑をスキップできるのなら、帰省の疲労が相当下がるはずです。

まあ、私の直前の上司のお話なのですが。ちなみに彼もつい先日SFCを取得していました。

【2020年9月現在】ANA系列の国内ホテルで朝食無料になる

全日空はホテル事業も手掛けており、国内に多数のホテルを所有しております。

SFC会員が系列ホテルに宿泊すると、朝食無料などのサービスがありお得です。

朝食無料はプラチナ会員や株主にですら提供されていないので、メリットと言えるでしょう。

ただし、本会員限定です。

株主優待で得られる、食事代20%オフとの択一が悩ましいですね。

メリデメ挙げると「万人向けと言い切れないので無理してまで取得することはないのかなあ」といったところ

私がSFCカードを持ってみた感想ですが、正直普通の会社員にはメリットが少ないと感じました。

お金も時間も限られており、好きに旅行など行けないのが世の会社員。家庭を持っていればなおさらです。

日常的に飛行機に乗る人や海外旅行好きにはメリットが大きいのですが、そのような人は無理をしなくても常時プラチナ会員以上を維持できるでしょうし。

SFCのメリット自体は大きいのですが、単純に使い方が難しいです。

同じ上級会員資格を持ちたいなら、デルタAMEXゴールドカードを申し込んだほうがなにかと楽です。

マイル修行などしなくても、申し込むだけですぐにデルタ航空とスカイチームのVIP会員です。

初期投資の必要がないので、使ってみて合わなければ解約すればいいだけです。

初年度はキャンペーンで大量マイルを獲得できることもあるため、1年デルタで上級会員気分を味わって、それからSFC取得を検討してもいいのではないでしょうか。

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