2019年12月14日、ANAカード会員向けのキャンペーンで機体工場見学に行きましたので、帰りの列車内からイベントレポートします。
全部で100人も集まらないような小規模のイベントでしたので、比較的自由に写真を撮って回れました。
飛行機が大好きな方、飛行機に興味が出始めたお子さんをお持ちの親御さん、ちょっと空いた時間に工場見学デビューしたい会社員の方など、想像以上に楽しめるのではないでしょうか。
もちろん、旅ブロガーの個人取材にもうってつけです。
関連記事:ANAカードのキャンペーンで飛行機整備場見学に当選したので羽田まで出かけてきます。
目次
ANA機体整備工場見学ツアー行程
全日空の機体整備工場を見学した記録です。
全部で2時間半程度の行程でしたが、普段はお目にかかれないような舞台裏まで散策できて、満足感がありました。
真冬の新整備場駅の空っ風が身にしみる
今回の機体整備場見学イベントは、羽田空港第一ターミナル(国際線ビル)の一つ手前の駅から始まりました。
駅名は「新整備場」駅。そのまんまですね。
同じモノレール沿線に「整備場駅」がありますが、こちらは別物です。
普段はお客さんが訪れないので、こじんまりとした駅です。
一つしかない改札を抜けると、15分ほど前から大勢の人々が待機していました。
朝ゆっくりというわけでもないのにご苦労様です。
ほどなくイベントスタッフの方がやってきて、受付が始まりました。
私は飛行機に乗るときも、全員乗り終わってから乗る派なので、このときも最後の最後に受付を済ませました。
嫌いなんですよ、列に並ぶのって。
確認が終わると工場の入館許可証を渡され、駅の出口に待機しているバスに乗り込みます。
軽く聞いてみたのですが、家族向けのツアーであるものの、私のようなおひとり様も、意外と参加しているとのことでした。
飛行機マニア垂涎の展示物たち
ANA機体整備工場のビル前に着くと、きれいな受付ロビーに多数の展示物がありました。
模型に記念スタンプ、シミュレーターらしきものまで並んでおり、航空関係が好きな人はこれだけでも楽しめるのではないでしょうか。
ロビーに併設のコンビニには限定グッズと思わしきおみやげ物が並んでいました。
これまた全日空びいきの人にとっては目の保養ですね。
受付の奥に進むと見学者用のセミナールームがあり、やはり楽しい展示物の数々が出迎えてくれます。
飛行機旅行の手引きや、各種機内で使われているシートの現物、整備士さんが組み立てたプラモデルなどが展示されておりましたが、壇上に鎮座したガンダム(それもRX-78)のインパクトが強すぎて、他の展示物がかすんで見えました。
でも、飛行機と違って飛べないんですよね。初代ガンダムって。
なんでANAカラーのガンプラ出ているんでしょう。企画の方が、筋金入りのガンダムファンだったのでしょうか?
ANAオリジナルカラーのガンプラは、アマゾンで購入できるようです。
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序盤は講習とVTRでお勉強。一般ユーザーが知らない舞台裏も
見学の序盤は9時半からのお勉強会です。
全日空の社員の方が、ANAの仕事についてあれこれ解説してくれます。
内容としてはかなり硬派で、完全にお勉強会なのですが、大人も子供も飛行機好きの皆さんばかり集まったのか、居眠りもせず熱心に聞かれているようでした。
写真の掲載ポリシーにより、プレゼンの写真を載せることができないので、代わりに色々とメモしてきたのですが、初めて知ったのは次のようなことです。
- 整備士は夕方5時から出社して元気に準備体操をした後、翌朝便を徹夜で仕上げる
- グランドスタッフは朝5時出社してすぐブリーフィングに入る
- すべてのお客さんを案内して、初めて出発用の書類ができる
- グランドスタッフはその後機内まで猛ダッシュしてプリントを届けている
- 全日空の保有機材数は2019年12月現在266機
- 羽田空港の滑走路は4本あって、だいたい2分に1本発着している
- 滑走路は風向きによって離陸と着陸を切り替えている
- 発着ピーク時は45秒に1本のペースで発着している
機体スペック一覧に紛れてミレニアムファルコンが載っている遊び心に脱帽です。全日空さんはスターウォーズ推しなんですね。
私はスターウォーズ見たことないのですが。
整備士についてあれこれ
説明によると、全日空の整備士は全部で4,500人です。
黄色は新入り、色付きの線が入ったヘルメットはチーフなど、ヘルメットの色と線色で役職がわかれているそうです。
離陸時に窓際の席に座ったら、ヘルメットのディテールに注目してみるのもいいですね。
彼らがテイクオフで手をふるのは完璧に整備をしたという、誇りに満ちたサインだそうです。
整備士の業務はシフト制なので、午前便で見かけたなら皆さんおそらく徹夜明けです。
今度から、手を振り返す代わりに敬礼を送りたい気分になりました。
整備工場は飛行機の寝室のようなもの
前半の説明会とVTRが終わると、今度は3班にわかれて工場見学です。
ここではヘルメットを着用するように指示されます。
いざ整備場内に足を踏み入れると、寒い。ひたすら寒いです。
わかっていたことですが、今は真冬の12月。外気と変わらない環境にある整備場内も、摂氏1桁です。
構えていればそれなりに平気なのですが、なんでわざわざこの時期に工場見学が開催されたのでしょう?
私がたまたま12月の募集を見て工場見学に来ただけなのかもしれませんが。
さて、整備場内には飛行機が1機格納されていました。
主翼、尾翼、エンジンなどなど、飛行中に遠くから見ることの多いパーツも、間近で見ると巨大です。
エンジンなど大人1人余裕で入ってしまいます。
お休み中の飛行機には、ロールスロイス製のエンジンが採用されていましたが、1機で20億円とのことです。2個で40億。
一般的に会社員の生涯収入が2億円とされていますので、10人が馬車馬のように人生をかけて働いて、やっと1機購入できるという額ですね。
スケールが違います。
場内で広すぎるので自転車移動が認められています。
自動車の運輸支局などでも、ナンバープレートを積んだ自転車を乗り回していますが、それと似たような感覚なのでしょうね。
違いがあるとすれば、飛行機整備工場で使われる自転車は3輪車だというところです。
後部に重いものを積むため、より安定感のある3輪車を採用したのだとか。
ここでは引率の方からトリビアが3つ紹介されました。
- 羽田工場は今の形に改修となったとき、前回の30倍の広さになった
- 飛行機のエンジンはたった8本のボルトで留められている
- 飛行中にエンジンが止まってしまった場合、風力発電に切り替わる
普通なら知り得ない飛行機の構造について、あれこれ教えてくれるのは、工場見学ならではのいいところだと思いました。
それにしても、しんと静まり返った整備場にたたずむ飛行機は、轟音をあげて元気にかっ飛んでいく飛行機とは別物に見えました。
静けさの中で離陸後の飛行機を見上げると、いとおしい気分になってきます。
お土産コーナーの限定グッズが意外にアツい
工場見学から戻って少し時間があったので、記念品を物色することにしました。
先述しましたが、整備場の建物入り口にはコンビニが併設されており、見学者向けにお土産品が売られています。
この土産物が、好きな人は相当好きなんだろうなと思えるラインナップで、私も数点購入してしまいました。
野球場の売店や、ライブ会場のツアーグッズ売り場のノリです。
個人的にはキーホルダーがおしゃれだと感じましたが、ファーストクラス仕様のスープセットなど、あまりお目にかかれないレアものがあったり、なかなかにあなどれません。
飛行機のプラモデルもありましたが、ANAガンダムはいませんでした。
最後にこれでもかというくらいお土産もらって解散
(自分への)おみやげも買い終わって、いよいよツアーも大詰めです。
最初の会場内に戻ると、参加者一人一人におみやげ袋が用意されており、おそらく非売品のANAグッズが大量に入っていました。
おみやげというより福袋です。
これだけ記念品をもらってしまっては、次回も全日空便を利用しようかと思いたくもなるのが人情ですね。
主なターゲットはファミリー層なので、子供のハートをがっちりつかんでおけば、世のお父さんはANA便で家族旅行せざるを得ないのかなあ、などと思ってしまいました。
私としては、子供達には飛行機旅行にどんどん興味を持ってもらって、大人になってからこのブログを読んでほしいと思っているので都合がいいのですが。
この後クイズコーナーを軽くこなして解散です。
欲を言うなら質問コーナーとかあればよかったのになあ、と、後ろ髪引かれる思いで会場を後にしました。
1,000マイルで参加できるなら行く価値じゅうぶん。あえて言うなら整備士さんと直接話せるコーナーがあればよかったのになあ
全体的に想像よりも好奇心を満たしてくれたので、わざわざ名古屋から出向いたかいがありました。
でも、真冬にやるものではないですね。相当寒かったです。
整備場内は外気温とまったく同じ環境なので、イベント参加を検討されている方は、外気温に合わせた格好をしてくるといいでしょう。
個人的な感想としては、もうちょっと双方向的な楽しみ方ができると嬉しかったです。
「現役整備士の視点から飛行機の安全性を全力でアピールしてもらった!」などという記事を書ければ、非常に楽しかったのですが。
もっともこれは、私がブログの取材という立場で赴いたからです。
しんと静まり返った整備場内から、最短45秒ごとに飛び立つ飛行機を見るのは、機体整備士ですら見られない非日常です。
開催は不定期のようですが、大人も子供も行く価値じゅうぶんですので、こまめにANAのイベントページをチェックしてみてはいかがでしょうか?
今回の主催は全日空本体ではなく、ANAカードでした。
上級会員だからと抽選に受かったわけではなさそうですが、いつもお世話になっているエアラインのバックヤードを見せてもらえるのは、いい勉強になりました。
参考:ANAスーパーフライヤーズカード申込みのタイミングは、プラチナ会員になった直後がいいと思う。【ANASFC】
冬休みや夏休みの自由研究にもちょうどいと思います。私が教員の立場なら、オリジナリティのある取材は評価したいです。