日本は庶民に株式投資が浸透していない国です。
21世紀に入ってからネット証券が普及したり、iDecoやNISAなどの投資環境は充実してきましたが、いまだに株式投資をギャンブルとはき違える人が大勢いると感じます。
私は投資を始めて9年経ちましたが、一生投資を続けるつもりでいます、長く投資をしていると、初期の目的や根拠がぶれてしまうことがよくあります。
この記事では、私自身が初心を思い出すついでに、投資は博打と思っている方々へ向けて、なぜ投資を続けているのかについてまとめてみました。
★この記事は情報提供を目的としており、読者に投資を推奨するためのものではありません。投資は利益を生みますが、損失も生みます。当サイトでは読者の被った事態についていかなる責任も負いかねますので、投資をするならじゅうぶんに納得した上で行いましょう。
目次
投資をするのは経済的自由を得てきままに旅したいから
今の日本は、働きたい人よりも働きたくない人のほうが多いと思います。
仮にこの命題が正しいとして、2つの側面があるのではないでしょうか。
第1に勤勉を好まないこと、第2に労働に束縛された時間を別のことに充てたいということ。
私は後者を支持しています。
働かなくても生きていけるだけの収入があれば、会社に縛られる必要もなく、どこで生きていくのかも自由に決められます。行きたい場所があればどこへでも行けます。
しかし、現実はそうではありません。毎日毎日、乗りたくもない電車やバスに乗り、会いたくもない人に頭を下げ、疲れ果てて岐路につくのです。
食べ物も娯楽も生計の名のもとに制限され、いつしか生きることが人生の目的にすり替わっています。
我々は、労働で生計を立てていくと決めた時点で、相当の自由を雇用主(あるいは事業)に差し出しているのです。生きる場所と、行ける場所の制限は特に重いです。
その点、労働をせずに生きていけるとしたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
好きな時に、好きな場所へ旅をして、いつでも自分の気に入った人とだけ過ごせる。
自分の楽しみのために、人生を100%使えるのです。このことは、長年私にとって、自由な人生の完成形と言えるものでした。
労働に従事しているだけだと、このような生き方は夢のまた夢なので、私は株式投資で経済的自由を目指すことにしました。
投資のいいところは、お金さえ出せば投資先の人に働いてもらえる点です。これはシンプルですが、資本主義の根底です。
資本主義のルールを理解して、早めに行動すれば、経済的自由を得ることができます。
もちろん、必ずではないでしょうが、経済的に成功した人の大半は株式を利用してきたはずです。ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスしかりです。
私が目指すのは、冒険投資家と呼ばれる人です。その名もジム・ロジャースといいます。
彼は貧しい家庭に生まれたそうですが、5歳の頃から勤労に励み、得たお金を働かせる仕組みを作り、40歳前にはリタイアして、諸国を冒険していたそうです。
なんと理想的な生き方なのでしょう。
私は、ロジャース氏の著書に書かれた、次の言葉が大好きです。
誰も知らない国へ行こう。そして冒険しよう。
出典:世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60, プレジデント社, 2015年
このおじいちゃん、私が人生で成し遂げたいことを1行で表現してくれました。
気が合いすぎて、ついついKindleデビューしてしまったくらいです。
私もいつか、こんなジイサマになって世界中を好き勝手に飛び回りたいです。
冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行 (日経ビジネス人文庫)
たとえリスクがあっても株式投資をする理由
株式投資にはリスクがあります。
後述しますが、ここで言うリスクとは危険のことではなく、額面価値の変動のことを意味します。
私の知る限り、おおよその日本人はリスクを嫌います。そして、口をそろえて「庶民は貯金」と言います。
しかし、私は大勢につかず、日々淡々と投資を続けています。
リスクがあっても株式投資をする理由とは何なのでしょうか?
一度自分の頭で真剣に考えてみました。
資本主義社会で生きるなら資本家(株主)になったほうがいいから
現在、多くの国では資本主義の経済システムを導入しています。
資本とは生産手段のことですが、幅広い意味でとらえると、株式も資本と言えます。企業への出資と引き換えに、配当という形でお金を生産しているからです。
資本主義というからには、資本に重きが置かれていることは、中学生以上なら大体わかるかと思いますが、資本主義を一つのゲームとして考えたとき、正攻法を知っている人に出会ったことは多くありませんでした。
資本主義のたった一つの攻略法は「資本家になること」です。
資本主義自体が資本家、つまり生産手段を持った人によって生み出されたものなので、資本家の不利に働くことはありません。
ならば、資本家になってしまうのが、資本主義社会をうまく乗り切る手段なのです。
幸いにも、今日の日本は、地主や大名に命や財産を握られているわけではありません。
その気になれば、すぐに資本家になれる世の中なのです。
我々の暮らしの中で、一番身近な資本は自分の体ですが、その次に身近なのが株式です。
たとえばバブルの時代などでは、銀行や株式市場で株を買うイメージがありましたが、今ではネット証券の口座を作るところから、取引を行うところまで、全部インターネットで完結してしまいます。
株式は直接的に富を生み出すものではありませんが、投資先の株式会社が利益を生み出してくれます。
このため、株式を持つということは「生産手段を持つこと=資本家になること」につながるのです。
私が株式投資をしているのは、もっとも簡単に資本家になる方法を選んだ結果なのです。
日本経済の終わりや、資本主義の終焉を煽る論調も多々ありますが、社会システムの死と、個の生命体の寿命を比べると、よほど市場が長生きです。
資本主義が続く限り、株式市場がなくなる可能性は限りなく低いのではないでしょうか。
日本は少子高齢化で将来インフレにならざるを得ないから
2000年の国家予算と2019年の国家予算を比べたところ、社会保障関連費用が目に見えて伸びています。
2000年が17.6兆円だったのに対し、2019年は34兆円と、倍程度に増えているのです。
高齢者が増え、税金が重くなり、現役世代の生活が苦しくなる。生活が苦しいから子供を産んで育てる余裕もなくなる。子供が育たないから余計に老人が増える。老人が増えると社会保障費は増えて、税収は減る。
日本は少子高齢化で負のスパイラルに陥っているため、まともに借金を返済する方法がありません。
常に収入よりも借り入れが多く、年々費用増大と減収の二重苦に見舞われているからです。
普通に返せる見込みがないのなら、個人なら自己破産ですが、国がそう安々と債務不履行(デフォルト)するわけにもいきません。
かといって、消費税を2倍にも3倍にも引き上げたら、国民の反発を招きます。
そこで日本は、第二次安倍政権の始まった2010年代初頭から、金融緩和の名目でじゃんじゃんお金を刷っています。
刷ったお金で何をしているかというと、リーマンショックやコロナショックで経済がピンチになる度に、日本企業の株式を買いまくっているのです。
こうすると、株の値段が上がる一方、お金の価値が薄まるため、更に株価が上がります。
さて、ゴールドが貴重なのは、希少価値があるからです。金がちまたにあふれたら、ゴールドの価値もなくなります。
お金も一緒です。お金を刷って配るのは、一時的には良いのかもしれませんが、いずれはインフレ、つまり貨幣価値の下落を招きます。
日銀はお金を無限に刷ることができますが、日本円の価値は徐々に薄まっていきます。
前項で言及したジム・ロジャース氏は、第二次安倍政権の金融緩和に対して「お粗末」とまで言い放ったそうです。
貨幣価値の下落は、すでにお金を持っている人にとっては打撃となります。同じ額のお金で、買えるものが少なくなるわけですから。
自販機のジュースなどはいい例ですね。昔は100円で缶ジュースが買えたものが、今では130円から150円程度出さなくては買えなくなってきています。
一方、はなはだ理不尽なお話しかもしれませんが、インフレは持たざる者や借金を抱えたものにとっては救いの手となります。
お金の価値が半分になるということは、借金の重みも半分になるからです。こうなると、借金を返すのが容易になります。
2020年現在、日本の国債残高は、1,000兆円程度です。数字に直すと1,000,000,000,000,000円です。冗談のような数値ですが、決して小数点ではなく整数です。
- 参考:予算 - 財務省
日本の国家予算は、一般会計で100兆円とされていますので、単純計算で10年分以上の借金が積もっているという、恐ろしい状況です。
ちなみに税収は60兆円台なので、残りの40兆円程度は国債で賄っています。赤字で予算を組んでいるのが常態化しているのです。
このため、日本が借金を返す現実的な方法は、インフレ一択だという結論は、決して荒唐無稽な話ではないと思われます。
将来的にインフレが起きるのがほぼ確実なら、どのような資産を持てばいいのでしょう?
現預金一辺倒が危険である反面、株式を保有するのは賢い選択です。
インフレ下ではモノの価値が上がりますが、日本円と交換して購入するという点で、株式も一種のモノとして考えることができるからです。
実体経済がどうあれ、金銭価値が勝手に下がるのなら、現預金以外の資産に投資すべき、というのが私の結論です。
リスクを取らないのも一極集中の「リスク」があるから
投資用語で「リスクをとる」という言葉があります。
これは、リスク資産を持つことなのですが、リスク資産とは何のことでしょうか?
「リスク=危険」と解釈すると、何やら危ない投資のように感じるかもしれませんが、投資家界隈で言われるリスク資産とは「額面に値動きのある資産」のことです。
株や債券、不動産や外貨などを想像してください。市場があって、日々売り買いする人がいるようなものは、値段が変動します。
一方、現金や預金は、見た目上の金額が一切変わらないため「無リスク資産」と呼ばれます。
一見、無リスク資産は資産保全効果が高いと思われがちですが、必ずしもノーリスクとは限りません。
前項のインフレなどは、その最たる例でしょう。額面が変わらなくても、物価が上がってしまえば、実質価値は目減りします。
海外旅行も厳しくなります。為替とは通貨同士の強弱で決まりますので、価値を失った日本円しか持っていないと、海外で消費する際に不利と働きます。
リスク資産を持たないことが、逆に「リスク」となりうるのです。
普通のサラリーマンなら、毎月の給料が無リスク資産一辺倒である以上、意識してリスク資産に投資しないと資産が偏ります。
資産は複数のクラスに分散していたほうが健全です。
多くの人がこの事実に目を背けている気がしてなりません。
無難に投資を始めたい人はネット証券でバンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)を買うといいと思います
本文が冗長になったので、私が9年間も投資を続けてきた理由をまとめてみます。
- 投資の利益で生計をまかなって自由に旅をしたいから
- 資本主義社会では資本家になったほうが有利だから
- インフレリスクに対応するため
- 資産が日本円100%だと偏っているから
以上の理由から、私はリーマンショックの頃から株式投資を続けて、チャイナショックもコロナショックも乗り越えてきました。
「で、結局どの銘柄に投資すればいいの?」という声が聞こえてきそうですが、もし私が親兄弟や親友に対して、1つだけおすすめ銘柄を伝えるのなら、バンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)にします。
VTとは至って単純な商品で、全世界の株式を、規模に比例して薄く広く買いますよ、という商品です。アメリカのバンガードという会社が出している、株式市場の集大成のような商品です。
ETFとは個別株の詰め合わせと思ってください。個別株同様値動きもありますが、配当ももらえます。購入金額にもよりますが、よほど高値で買わない限り、年間2%前後の配当がもらえるでしょう。
年利2%で10万円分持っていたら、年間2千円の商品券がもらえるようなイメージですね。配当だけでも50年で元手をペイできます。もし、配当をひたすら再投資して株を増やし続けると複利効果が働くので、順調にいくと36年くらいで元手を完済できます。
配当は、投資対象が破たんしない限り、早く受け取れば受け取るほど恩恵をもたらしてくれます。
個人的には、若者ほど小遣いをはたいて株を買った方がいいのではないかと思います。配当を受け取るたびに再投資していれば、もらえる配当も少しずつ増えていくからです。パチンコ行っている場合じゃありません。
私は27歳で投資を始めましたが、もし人生をやり直せるなら、自我の芽生えた3歳から投資を始めているでしょう。投資の世界で24年の年月は大きなハンディキャップです。
さて、私は資産の一部をVTで保有していますが、配当と値上がり益を含めて、3年間で25%程度の利益が出ています。
個別株のように爆発的な値上がり益はありませんが、倒産リスクは限りなく低いです。VTが紙切れとなる日は、資本主義が終わる日ではないでしょうか。
ネット証券の米国株式検索で「VT」と入力すれば出てきますので、どのような商品か検索してみはいかがでしょう?
DMM証券などの一般的なネット証券は口座開設費用や維持費用が一切かかりませんので、作るだけ作ってみて、興味が出たら投資してみるのもいいかもしれませんね。経済関連のコラムを無料で読むことができるので、新聞読むより勉強になると思います。
また、銀行預金の預金保険(ペイオフ)の上限は1,000万円ですが、証券会社は金融商品取引法の定めにより分別管理(信託保全)という仕組みがあるので、1,000万円を超える資産を預かり金として入金していても安心です。貯金目的で開設するのもアリですよ。
【筆者からのアドバイス】
※レバレッジをかけて行う取引は推奨しません。借りたお金で株を買う仕組みなので、最悪借金を背負う可能性があります。
※FXと株式取引は別物です。やるのは自由ですが、安易にFXを始めないようにしたほうがいいです。私は最終的にマイナス利益でFXをやめました。
★この記事は情報提供を目的としており、読者に投資を推奨するためのものではありません。投資は利益を生みますが、損失も生みます。当サイトでは読者の被った事態についていかなる責任も負いかねますので、投資をするならじゅうぶんに納得した上で行いましょう。