私事ですが、この度心療内科でうつ病と診断されました。
仕事量の著しい増加と、異動後の人間関係が直接の原因ですが、元々の気質がうつ病を招きやすかったのかもしれません。
うつ病を言い渡された後の生活ですが「今までとあまり変わらない」です。
外から心を病んだ人を見たことはありましたが、今度はうつ病の当事者として感想をつづってみます。
※2021年1月追記、うつ病発症から8か月目にして休職することにしましたので、記事を公開します。
目次
病院でうつ病と言われてわかったこと
巷ではうつ病の話題が一般的となってきましたが、実際にかかってみるまでわからないのが普通だと思います。
私が実際に心療内科を受診して、その日にうつ病と診断されたときのことをまとめました。
そこまで治療費用は高くない
うつ病の治療は、休養と投薬です。
病院では、生活の中でつらいと感じていることや、生活環境の変化など、インタビュー形式で先生が質問します。
その結果、処置が必要だと判断されれば処方箋をもらって薬物療法に入ります。
これを1週間に1度程度のペースで通院することになるのですが、想像よりも治療費が安かったので安心しました。
診療費負担の一例は次の通りです。
- 初診料、カウンセリング 2,000円強
- 1週間分の抗うつ剤、抗不安薬 800円
- 診断書 3,300円
特別なことがなければ、初診でだいたい6,000円だと考えておけばいいと思います。
3年前に別の心療内科にかかったときも同じくらいだったので、これが相場なのでしょう。
さらに、うつ病関連の通院は「自立支援医療」制度の対象となっています。
病院で発行された診断書を持って各地の役所で申請すると、通常3割負担の医療費が、1割負担になるため、安心して通院できるのです。
費用面が心配で心療内科の受診を迷う必要はないのかな、といった感想です。
会社の人事は具体的な処置をしてくれない
昨今、従業員のメンタルヘルスケアが、大企業を中心に行われています。
過労やうつ病による自殺で、企業が裁判に持ち込まれることがあるため、リスク回避のための施策なのでしょう。
さて、この制度、アンケート形式で行われることが多く、私の所属している会社でも、ストレスチェックの名目で1年に1度実施されています。
アンケートの結果でストレスのスコアが出るのですが、点数が高かったからと言って、人事がすぐに介入できるような制度ではありません。
ストレス値の高い人を強制的に配置転換するくらいの強権があればいいのですが、日本の組織は縦割り前提なので、人事に相談しても職場環境は改善しません。
おそらく100%の割合で「病院へ行け」となります。
人事に相談して何とかなると思っていると、失望することが多いので、まずは病院を受診しましょう。
企業には従業員の健康に対する安全配慮義務があるので、病院で診断書がもらえれば会社に対するカードになります。
診断書は割と初期に書いてもらえる
うつ病の診断書と聞くと、数回受診してから、精神疾患を認められた後に発行してもらえるものと思われがちですが、通院初期から発行してもらえるケースもあります。
本人はつらいから病院を訪れたわけであって「通院が必要になる=調子が悪い」ということなので、当然といえば当然ですね。
診断書の用途は主に2通りで、職場への交渉と、行政機関への提出用です。
業務過密や人間関係でうつ病となった場合、診断書を持っていけば、会社側に動いてもらうこともできます。何もしてもらえなければ、安全配慮義務違反です。
また、先に書いた通り、うつ病の治療は役所へ申請すると医療費が安くなります。
この際も診断書が必要となるので、通院の初期段階でもらっておくと、なにかと有用でしょう。
抗うつ薬には依存性がない。でも抗不安薬は要注意
抗うつ薬と抗不安薬と聞くと、何が違うのかわかりませんでしたが、今回病院で話を聞いてある程度スッキリしました。
抗うつ薬はうつ病の根本的な治療に使うのに対し、抗不安薬は一時的な不安を緩和してくれるものなのです。
意外なことに、抗うつ薬には依存症がないそうです。
確かに、根本的な治療を目指す薬に依存性があったら、二次災害が起きますよね。
その代わり、即効性がないので、量を徐々に加減しながら投薬するそうです。
これに対して、抗不安薬は即効性に優れるものの、依存症があると明確に言われました。
つらい時に飲むと、気分がスーッと楽になり、フワフワしてくるので、睡眠薬のような用いられ方もしますが、常用、乱用は危険だと感じました。
いずれにしても、うつ病にとって一番の薬は休養なので、薬物療法を過信すべきではないのかもしれません。
うつ病と診断されても必ず休職する必要はない
私はうつ病と診断されるまで、メンタルを壊した会社員は、全員休職するものだと勝手に思っていましたが、普通に仕事をしながら治療している人もいるそうです。
たしかにうつ病で休職すれば、保険組合から傷病手当金も出ますし、まとまった暇をとることができるので、集中的な回復は望めるかもしれません。
でも、その後の人事に響くことは火を見るよりも明らかです。
会社の規定では、休職を理由に人事評価を調整してはならないとなっていても、結局昇進の是非については、上役の胸先三寸です。
「奴を上げないのは休職が原因ではなく、能力の問題」と言われてしまえばそこまでですからね。
病後の損得まで考えて、休職まで至りたくないのなら、働きながら治療することも可能です。
ケガをしたって、必ず入院するわけではないのです。
仕事が多すぎたり、人間関係の悩みがあるのなら、まずは診断書をもらって上司に相談しましょう。
回答によって、会社の懐が見えてくると思います。
うつ病は心の病気ではなくて脳の病気
しばしばうつ病に対して「心の病気」と言いますが、これは正解のようで正確ではありません。
うつ病は脳の病気です。
うつ状態が長く続くことがうつ病の症状ですが、脳内物質の減少が原因なので、そもそも心の問題ではないのです。
うつ病の人に対して、がんばれと言うのが間違いなのはこういったところからですね。
脳の問題なので、気の持ちようではどうしようもないのです。
繰り返しますが、うつ病は心の病気ではなくて脳の病気です。
私としては、うつ病に対して「心の病」というのは、広く誤解を招くのでやめてほしいと思いました。
おなかが痛くなったら病院へ行くのが当たり前のように、うつ病になったら病院へ行くのも至極当然のことなのですよ。
今そこに苦しみがあるのなら病院に行きましょう
うつ病の診断自体、判断が難しいところではありますが、毎日毎日苦しいのは、やっぱり正常ではありません。
うつ病だ、気分障害だと、病名にこだわらず、目の前に苦しみがあるのなら病院に行きましょう。じゃないと誰も助けちゃくれません。
毎日毎日面白くないと感じているなら、治療を始めたほうがいいです。うつ病は治療をしないとうつ病だったと気づけない病気なのです。
サラリーマンを続けながらも病気の治療はできます。持病があるからといって、会社員やめなくはいけないなんて法は、どこにもありません。
プロレスだって、ダメージが深刻だと判断したら一旦ロープから出るのです。
10カウントギリギリまで休む心のゆとりをもって、穏やかに生きていきたいですね。