泡盛というお酒をご存じでしょうか?
泡盛は沖縄土着のお酒で、タイ米を原料とした蒸留酒です。酒税法上は焼酎とされます。
沖縄には日本酒がない代わりに(ないと思います)、泡盛の酒蔵がたくさんあり、それぞれ個性豊かな味わいを醸し出しています。
今回は、空港からバスと徒歩でおよそ30分程度の場所にある「まさひろ酒造」にお邪魔し、五種類の泡盛を飲み比べしてみました。
目次
まさひろ酒造の本格泡盛たち。果たしてお味は?
2021年4月、ツーリングで沖縄へ行った帰りに、まさひろ酒造という泡盛専門の蔵元にお邪魔して、たくさん泡盛を買ってきました。
本当は、両手いっぱい買って帰りたかったのですが、片手が持ち込み用のヘルメットでふさがっていたため、片手に収まる量で我慢せざるをえませんでした。
買った(もらったもの含む)ボトル全部並べてみました。
観光ではなくて泡盛を仕入れに沖縄へ行ったように感じてしまいますが、ちゃんと観光はしておりました。
観光の内容はいったん横に置いておいて、せっかくこれだけの泡盛をゲットしましたので、まさひろ酒造の泡盛飲み比べを決行することにしました。
果たして、お味やいかに?
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琉球泡盛島唄 0円
0円と表記しましたが、こちらは蔵元見学の特典としていただいたものです。ちゃんとバーコードがあったので、本来は売り物だと思います。
2021年4月現在、次のURL経由で見学予約すると、ミニボトルプレゼントというキャンペーンが開催されていたため、遠慮なく頂戴してまいりました。
プレゼントをもらうためには、ギャラリー公式サイトからの予約が必要なのでご注意を。
- 参考:泡盛まさひろギャラリー
容量としてはカップ酒以下ですが、水でアルコールを薄めてあるようなものではなく、ちゃんと泡盛標準規格の30度ということで、しっかり泡盛っています。
お味の感想ですが、表現として、はなはだ失礼ですが、沖縄県内のコンビニで売っている普通の泡盛、といったニュアンスです。(ゴメンナサイ、悪気はないのです)
まさひろ酒造 島唄黒パック 30度 [ 焼酎 沖縄県 1800ml ]
通販で見ても、値段はかなり安いですね。
総合的には可もなく不可もなく、といったところでしょうか。
評価:★★☆☆☆
泡盛まさひろ(まさひろ180ml空手着ver.) 1,450円
ミュージアムを訪れて目に留まった、空手着を着た一合瓶。
沖縄は空手が盛んで、那覇市をめぐっていても、そこら中に空手の道場があります。
帯には沖縄の文字があり、おみやげにちょうどいいでしょう。
中身は普通の「まさひろ」と同等だそうですが、おみやげプライスなのか、通常の「まさひろ」と比べて、若干お高めです。
それを踏まえて飲んでみましたが、素直においしいです。安酒特有のツンツンした刺激もなく、アルコールの奥に隠されたコメのうまみを存分に味わうことができました。
同じランクの焼酎を、沖縄県外で買おうとするなら、1,000円は超えるのではないでしょうか?市内のコンビニでは、4合瓶で1,000円もしない値段で販売していましたので、晩酌用としては非常にコスパがいいです。
ただし、通販では離島送料を含めると、本体価格の倍になってしまいます。こればかりは仕方がないですね。
まさひろ酒造 まさひろブラック 30度 [ 焼酎 沖縄県 720ml ]
沖縄以外でも売ってほしいところですが、輸送コストの兼ね合いもあって厳しいのでしょう。
もっとも、地酒は地元にしかないからこそ、旅も楽しくなるのです。
那覇市内のコンビニなどにも置いていますので、見かけたらぜひ飲んでみてください。
評価:★★★★☆
筆者自身、いつかは甕ごとドカンと買いたいなぁ、なんて思っています。逆に単価は上がりますが…。
俺も!まさひろだ(非売品) プライスレス
まさひろ酒造は、3代目のご主人がまさひろさんだったそうです。
いつから始まったのかちゃんと聞いていませんでしたが(試飲で酔っ払っていたため)、まさひろ酒造では「まさひろ」という名前を持つ人なら誰でも、本格泡盛を一本プレゼントしてくれるという太っ腹な企画を行っています。
こんな話、30何年間生きてきましたが、聞いたことありません。私も、友達のまさひろさんに聞いて、はじめて知ったくらいです。
ちなみに完全非売品であるがため、商品用のJANコードがどこにも見当たりませんでした。ということは、この一本飲みきったら、本当にどこへ行っても飲めないですね。
まわりの「まさひろ」さんをそそのかして、一緒にミュージアムを訪れない限りは、まず一生飲めないという超レアものです。
味について案内のお姉さんに聞いてみましたが、いわく「(まさひろではないので)飲んだことがなく、どのような味かわからない」とのことでした。ごもっともです。
そんなレアもの、執筆のためとは言え「えいやっ」と開封してしまいましたが、酒なんて飲んでなんぼです。今後は冷暗所で保管しながら、毎年の誕生日にでもちびちびやろうかと考えております。
ブレンドが独特なのか、普通の泡盛よりも若干低めの25%。それでも、泡盛特有の香気と、まろやかな口当たりは、無料のレベルではないと感じました。
何より、まさひろである特別感が酒を美味にしてくれます。
評価:★★★☆☆
泡盛まさひろ五年古酒甕貯蔵 3,300円
さて、今回の目玉、泡盛まさひろ五年古酒甕貯蔵です。
ミュージアム1回のど真ん中、店頭の展示具合からして、気合の入りようが伝わってきます。
なんでも、甕貯蔵にこだわって作っているため、少量生産しかできず、蔵元限定の販売だそうです。(通常はタンクで貯蔵)
これ、観光客が多いときは手に入らないんじゃないでしょうか?
規格も微妙に異なるのか、そもそも規格外の特別品なのか、今回購入した中では、この一本のみアルコール35度でした。普通の泡盛は30度に統一されています。
5年古酒甕仕込みまさひろ [ 焼酎 30度 沖縄県 720ml ]
通販でも同じような商品を購入できますが、こちらはやっぱり30度ですね。
さて、お味のほうですが、このあたりから泡盛が本領を発揮しはじめます。
日本製有名メーカーで、同年数貯蔵したウィスキーを凌駕するまろやかさと香り高さ。私個人としては「人は30歳から、お酒は8歳からトゲが取れる」と思っていましたが、どうやら違ったようです。この子は5歳にして成熟しきっていますね。
泡盛は酒税法上、焼酎に分類されますが、沖縄県外の焼酎とは似て非なるお酒です。原料がインディカ米(タイ米)である点からして、もはや焼酎ではないとすら思っています。
とても乱暴に説明すると、焼酎は日本酒を蒸留して、アルコールの純度を高めたお酒の総称です。多少原料が異なっていても、おおざっぱに麦や米を原料とした醸造酒を蒸留したものは、焼酎なのです。定義が広すぎるがゆえに、同じ焼酎であっても、材料が異なるため、素材ごとの味は大幅に異なります。米焼酎、麦焼酎、芋焼酎が焼酎の代表格ですが、泡盛は、言うならば「タイ米焼酎」です。
そもそも、焼酎は蒸留後に何年も寝かせたりしません。ここが実に面白いのです。
泡盛の製法自体は、お隣台湾の醸造および蒸留を真似るところから始まったそうです。
起源をさかのぼると、穀類を発酵させて、甕で寝かせるという製法は、むしろ中国の紹興酒と似た部分があり、大陸の血を強く引いているのかもしれません。
泡盛の驚くべきところは、醸造酒と蒸留酒、両方の特性を兼ねそろえているところにあります。
紹興酒は寝かせるけど蒸留しない。白酒は蒸留するけど寝かせない。でも、泡盛は両方やってしまう。いわば甕で作ったブランデーです。
泡盛が泡盛たるゆえんは、蒸留と熟成を兼ね備えている点にあるといっても過言ではないでしょう。
飲み方は、個人的にはストレートを推しますが、贅沢にお湯割りでもいいと思います。泡盛特有の香気が立ち昇ります。
一方、ワイングラスで香りを楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。
評価:★★★★☆
蔵出しまさひろ濃醇(2008年製造酒) 2,500円
今回購入した泡盛の中で、一番好きな味でした。
お酒の熟成は、ウィスキーやブランデー、紹興酒の世界では一般的ですが、日本に存在する蒸留酒で、10年以上もの時間、飲まれずにじっと待っているお酒を、私は知りません。
こちら蔵出しまさひろは、なんと十年古酒。大陸が産み、沖縄が育んだ奇跡だと思います。
2008年製造ということは、少なく見積もって12年ものです。ラベルには10年と書かれていますが、具体的な解説は聞きそびれてしまいました。
泡盛は、貯蔵の過程で揮発した溶液(いわゆる天使の分け前)を、継ぎ足しながら何十年も熟成させることができるそうですが、バッティングの都合で表記が変わるのでしょうか?あくまで推測ですが。
味と香りはまさに泡盛の真骨頂。
このクラスになってくると、まろやかさは当然のこと、味に深みを超越した「すごみ」が出てきます。花の蜜を思わせる香気。メチルアルコールの味など飾りだとでも言わんばかりの重厚な味わい。酒を注いだ瞬間、グラスの中に刻(とき)が見えます。
バーボンの12年などは、軽く5千円以上はしますが、こちらは税込み2,500円。関税がかからないことを考慮しても驚異的です。私はワイルドターキーの8年ものが好きですが、こちらは同量で3,000円前後。もし私が沖縄に住んでいるなら、わざわざウィスキーなんて買わずに、泡盛ばかり飲んでいるかもしれません。
筆者の中では文句なしのファイブスターです。
評価:★★★★★
残念ながら、こちらは通販で手に入らないようです。
俺もまさひろでよかった
解説に私見が多分に含まれておりますが、この記事自体、まさひろ酒造の泡盛五種を、自宅で飲み比べながら書いております。
ぶっちゃけ、酔っ払いが作った草稿なので、多少の粗っぽさはご容赦ください。
だって、飲みながらじゃないとリアルな感想書けないんだもん。
ミュージアム見学が2021/4/8の午前中、帰宅したのが同日18時、そしてこの記事を書き始めたのが同日19時。
実に楽しく記事を書かせてもらいました。
全国のまさひろさんはもちろん、そうでない方も、沖縄を訪れた際はまさひろ酒造に行ってみてください。
全国のまさひろ代表としておススメします。
- 参考:泡盛のまさひろ酒造
- 参考:泡盛まさひろギャラリー
泡盛五番勝負!番外編
番外編ということで、少し趣向を変えて飲み比べをしてみます。
左はまさひろ酒造特製、泡盛まさひろ五年古酒甕貯蔵。
右は、静岡は浜松、花の舞酒造が作り出したリーサルウェポン。その名も「麁玉(あらたま)の星」。
日本酒用のコメを精米した残りを原料として作った焼酎で、花の舞酒造を見学した際に購入しました。
こちらなんと、度数40。
酒税法上、焼酎と表記できるお酒の限界値はアルコール分45度(単式蒸留≒焼酎乙類)。
限界ギリギリを攻める様子に、もはや焼酎ではなくスピリッツの面影を感じます。
肝心のお味ですが、やはりガツンときます。甘みも強いですが、かなり荒々しいです。それでいて、どこか日本酒チック。対するまさひろ五年古酒は、非常に丸みを帯びた風味で、スイスイ飲めてしまう危うさを秘めています。年の功というやつでしょうか。
お互い焼酎と分類されますが、方向性がまるで違います。
やっぱり、泡盛と焼酎は、根本的に別のお酒なのだと感じました。
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