目次
前回までのあらすじ
前のお話:【中国】北京から上海まで陸路で。北京から南京行きの夜行列車に乗るまで。【1日目】
トラブルは続いたものの、なんとか北京発南京行きの寝台列車に乗ることができました。
もともと、列車に乗ると眠くなるたちなので、さしたるストレスもなく、消灯時間を迎えることができました。
中国大陸を北から南へと。
1,000kmを超える線路を走る、超長距離列車の中から、今日のお話が始まります。
旅日記2日目:夜行列車の旅から一夜明けて南京市内を散策
※2018/10/8現在 1CHY(人民元) = 16.35JPY(日本円)
旅の軌跡
※この日はネット環境なしのため、タイムラインがありません※
06:30 列車の中で夜が明けた
カーテン越しに差し込む朝日を感じて目が覚めました。
寝台列車の中は意外なほど静かで、夜通し起きることもなく、朝を迎えることができました。
相変わらずネット環境が皆無のため、今どのへんにいるのかわかりませんでしたが、時間から考えると、南京はすぐそこまで来ているはずです。
到着まで時間があったため、列車内を探検してみました。
一等車はデラックス軟座と呼ばれており、この先に食堂車が連結されていました。
残念ながら、何度行っても満席であったため、利用は諦めました。
一等車の様子です。4人部屋と2人部屋で構成されている模様です。
至るところに給湯機があります。
庶民の朝食は、食堂車ではなく、移動販売で購入したカップ麺だったりします。
野を越え山を越え、窓の外にはひたすら線路が続いています。
名もなき橋を渡り。
いくつもの街を越えて。
長江の雄大な流れを渡れば、そこは南京です。
中国の人にとっても撮影スポットであるのか、大勢がカメラを構えていました。
さて、南京の町並みが見えてきました。
08:40 南京駅到着
駅が近づくと、車掌さんがきっぷを返しにきてくれます。
検札時に受け取った利用票と引き換えに、自分のきっぷを受け取りましょう。
終点だけあって、たくさんの人がホームにあふれていました。
列車を降りるたびによく思うのですが、みなさんどこから来て、どこへと行くのでしょうね。
乗客の数だけドラマを感じます。
北京発南京行き、T65号車に乗りました。
普通列車なので10時間ほどかかりますが、部屋が静かで寝具がきれいなので、時間を気にしないのであれば、高速鉄道よりも快適だと思います。
自動改札にもかかわらず大渋滞でした。
時間を気にしない旅人であれば、人波が引くまでホームで待っていてもいいのではないでしょうか。
改札を抜けると観光センターがあったので、いつもと同じように情報収集しました。
ガイドマップをいただいていこうとすると、10元とのこと。無料と勘違いしました。
中国の駅らしく、駅前広場が広大です。
機内食以来何も食べていなかったので、駅の食堂で軽く食事にしました。
南瓜粥が嫌というほど口に合いませんでした。
09:20 明日の切符を買っておく
南京駅にいるうちに、明日のきっぷを確保することにしました。
これは台湾鉄道で無座のまま5時間過ごした記憶が蘇ったからでもあります。
関連記事:【台湾】台北から台南へと台湾鉄道小紀行。台北市内には目もくれず一路南へ。【1日目】
自動券売機もありますが、国内もしくは台湾籍の人専用だそうです。
きっぷは購入できませんが、ルートや列車の時間帯を調べるにはいいです。
二等や一等と書かれている列車は、基本的に高速鉄道です。
ニッチ旅を志すのであれば、画面右上の「全部車次」と書かれたタブをタップしましょう。
これで、普通列車の情報も現れます。
きっぷの購入は、行先と大体の時間帯を書いて渡してしまうのがスマートです。きっと、自分も係員も幸せになれます。
写真のように、きっぷ現物に書いてある情報を網羅すれば、理屈の上では問題なく購入できるはずです。
経験上、アルファベットは通用しないので、漢字を書ける日本人の特権を活かしましょう。
簡体字の書き方は、Google翻訳を利用するとわかります。
無事にきっぷを買えましたが、ちゃんと伝わり切らず、高速鉄道の券になってしまいました。
まあ、一度は寝台列車に乗りましたし、細かいことは気にしてもしょうがないですね。
300kmほどの距離で、お値段139.5元(約2,300円)。
東京から豊橋までの距離ですね。日本の新幹線だと8,000円を超えますが。
参考:Yahoo!路線情報
10:00 南京駅周辺を散策
南京駅前の広場から出発です。
ネット環境を確保しないままここまで来てしまったので、ここからは自分の経験と判断力だけが頼りです。
まずは、南京駅からまっすぐ南下することにしました。
南京へやってきた人、南京から去る人。
大勢の人が集まりますが、北京駅の喧騒に比べると静かなものです。
南京駅の南の玄関口には、玄武湖と呼ばれる、これまた広い湖がありました。
帰ってきてから調べたところ、三国志の時代に、呉の孫権が水軍演習を行ったという逸話があるそうです。
考えてみれば、中国南東地方は呉の領土でした。
何も調べないで来たので、帰ってきてからわかることばかりというのも、面白いものです。
りんご飴のようなお菓子が売られていました。
玄武湖の北岸、つまり南京駅南側出口の桟橋から、湖の中洲へと渡し船が出ていました。
中洲までの運賃は20元です。
地下鉄の10倍ですが、観光スポットへと直行できるルートです。
身長1.3m以上は大人料金ということで、一つ前の親子が渋々料金を支払っていました。
広大な湖の真ん中に、ボートがちらほら浮かんでいました。
10:30 玄武湖中洲の梁州へ
玄武湖には、4つの大きな中洲があり、梁州はその最北端に位置しています。
地図でいうと、このあたりです。
湖を挟んで向かい側に、南京駅が見える位置です。
マップで指し示した建物です。
かろうじて読めた説明によると、どうやら迎賓館だったようです。
シンと静まり返った屋内から、近代の息吹が聞こえてくるようでした。
こちらは打って変わって、旧き良き中国の香りがする建物です。
更に奥に進むと庭園の入口がありました。
門を抜けると、盆栽、盆栽、そこら中に盆栽が鎮座してます。
英語表記では【Bonsai】なんですね。
盆栽もいいですが、ススキが秋の味を出していました。
漢字と英語が並んでいると、どちらを読むべきか迷ってしまいます。
ジグザグ造りの橋の上から、びっしりと埋め尽くされた蓮の池に出会えます。
蓮の平原が広がっています。
向こうに見える摩天楼がどこか幻想的です。
池のほとりは、市民の憩いの場所でした。
誰かのスマホから中国民謡が流れてきました。
木陰の回廊です。
湖も近いので、夏場は涼しいでしょうね。
11:00 蓮花広場のグルメイベントで一服
閑静な梁州も、南端までくるとにぎやかな雰囲気になってきます。
ここは桜州という、玄武湖の中心に位置した島へと渡る橋の上です。
橋の向こうに大きな仏像らしきものが見えたので、行ってみることにしました。
すると、地元のグルメイベントに遭遇です。
お昼時までは時間がありましたが、なかなかの賑わいです。
日本語に韓国語の説明まであります。
像の正面に回ってみました。
遠目には仏像と思いましたが、仙女像でしたね。
青空と蓮の緑によく映えます。
場所は桜州に渡ってすぐのあたりです。
公園側に戻ると、グルメフェスの看板が入口に立っていました。
2018年と書かれていたので、毎年行われているのでしょうか。
南京に来てから度々目にする鴨の血ゼリー。
南京名物らしいですが、どうなのでしょう。
意外と暑くてのどが渇きます。
北京駅は肌寒く感じましたが、1,000km以上も南にくれば、気候も変わるのでしょうね。
謎の形状をした食べ物が売られていました。
こちらは韓国などで売られている、ハリケーンポテトをパワーアップさせたようなもの。
酸梅湯がありました。
果肉がゴロゴロ入っていてさわやかです。
出来立てでホットドリンクでしたが、ヘルシーな味わいでした。
ドリンク片手に、しばらく休憩を取りました。
11:30 公園を抜けてホテルへと
玄武湖公園は、南京随一の観光地だけあって、広大です。
こちらにも蓮の池が。
民芸造りの家屋がノスタルジックな気分にさせてくれます。
とにかく、公園全体がよく手入れされていてきれいです。
金魚すくいならぬ金魚釣り。
桜州の西側が玄武公園の入り口であるため、徐々に賑わいが増してきました。
木の枝に赤いリボンや札がぶら下がっています。
何が書いてあるかわかりませんでしたが、短冊のようなものでしょうか。
地図ではこのあたりです。
桜州から西側の玄武門へと抜ける途中にあります。
一面鮮やかな赤に埋め尽くされています。
これだけびっしり漢字を書くのも大変ですね。
よほど大切な願いが書かれているのでしょうか。
もう少し公園を散策してもよかったのですが、事前に予約したホテルの詳しい場所までわからなかったので、早目に市内へ出ることにしました。
玄武門と呼ばれる、公園への玄関口です。
入場料を支払って、門の上へと上がることができるようです。
13:00 地下鉄で漢中路駅を目指す
ここに至るまで、何度かフリーWifiを捕まえられないか試してみましたが、徹底的に無理でした。
こうなると、メーラーにかろうじて残っていた住所だけが頼りです。
最初は歩いて行こうかと思いましたが、6~7kmはありそうだったので、あきらめて地下鉄の駅にもぐりました。
鼓桜駅から新街口駅で乗り換えて、漢中門駅へと行くルートです。
北京の地下鉄に比べればシンプルなものです。
漢中門駅に到着です。
ここから、新街口方面へと若干戻った場所にホテルがあるはずです。
建物に書かれた住所を頼りに、通りを行ったり来たりしました。
着いた頃には14時で、クタクタでした。
部屋は十分の広さがありました。
水回りは比較的清潔な部類です。
旅人の宿屋【#006】グランド コージー ホテル(南京新街口漢中門地下鉄駅店)
- アクセス:★★
- 静粛性:★★★★
- 清潔度:★★★
- 安さ:★★★
- スタッフ:★★★
- 設備:★★★
総評:★★★
- 場所:南京地下鉄漢中門駅より徒歩5分程度
- 対応言語:中国語
- 部屋タイプ:ダブル
- シャワー:あり
- バスタブ:なし
- テレビ:あり
- 冷蔵庫:なし
- Wifi:あり(中国ネット規制下)
- アメニティ:歯ブラシ、カミソリ、シャンプー、ボディーソープ、紙スリッパ
- 飲料水など:ミネラルウォーター
- 値段:218元程度(約3,600円)
- コメント:可も不可もなく、宿泊には充分なところはありますが、南京駅から徒歩圏内でないのがマイナスポイントですね。曜日を変えれば、もう少し安く宿泊できるようです。
参考:グランド コージー ホテル(南京新街口漢中門地下鉄駅店)(Grand Cozy Hotel (Nanjing Xinjiekou Hanzhongmen Metro Station))
17:30 翌朝のルートの下見に街中へと
ホテルでWifiがつながったので、ようやくまともな情報収集ができました。
中国から、中国以外のインターネットサービスに接続するためには、基本的にVPNを導入する必要があります。
事前にVPNに登録しておいて助かりました。
さりげなく明日の行程が気になったので、駅までのルートを確保することにしました。
GoogleMapによると、ホテルから南京駅までは、8キロほどとのことです。
歩こうとして歩けない距離ではありませんが、ここはやはり交通機関を利用したいところです。
地下鉄の駅には、ご丁寧に始発の時刻が書かれていました。
これによると、新街口から南京駅までの始発は6:33発です。
うーん、7時南京発の火車に乗るためには、遅くても15分前までには着きたいところなのですが。
悩んでいても仕方がないので、とりあえず南京駅まで行ってみることにしました。
結論、改札抜けるまで15分以上かかります。
別の手段を考えなくてはなりませんね。
最悪、歩くしかないとの考えが脳裏をよぎりました。
昼間も訪れた南京駅ですが、夜のほうがにぎわっている気がします。
これから旅立つ人や、駅の構内で一夜を明かす人が大勢いました。
夜の駅前広場です。
玄武湖へと再び出てみると、朝よりもむしろ人が多いのではないかと思ってしまいます。
歩いていけるかどうか、シミュレーションをかねて、湖畔を歩くことにしました。
星空の代わりに街の灯りが見えます。
国家公園の遊歩道だけあって、夜でも明るくきれいに保たれています。
ひたすら湖のほとりを歩きましたが、3kmほど歩いた地点で、歩いてホテルまでは厳しいという結論に達しました。
次の日も旅が続いているので、仕方がないですよね。
言葉は通じませんが、バス車体の表示を見て、2元払えば乗せてくれるらしいと察して、あてずっぽうで乗りました。
地下鉄が列車に間に合わないとわかったので、残る手段はバスかタクシーです。
個人的にタクシーは好きでないので、なんとかバスに乗りたいと思い、バス停の路線図を見てみました。
胃もたれするくらいにバスが走っています。
中国旅行をするのであれば、せめて簡体字の「站(駅)」くらいは覚えておくとよいでしょう。
この中で見ると、確実に南京駅まで行きそうなのは33番です。
始発が4時半らしいので、乗れば充分間に合います。4時起きになりますが。
バス停に止まるバスを何本か観察しましたが、市内バスなら基本的に2元のようです。
地下鉄もほとんど2元ということで、日本と比べると、交通費は無に等しいです。というか、やっぱり日本の交通費高すぎです。
19:40 ショッピングモール地下のフードコードで食事
なんとか明朝のルートを確保したので、何か食べることにしました。
歩きずくめでろくに食べ物を食べていなかったので、疲労感がずっしりとのしかかっています。
新口街の交差点に、複数のショッピングモールがあったので、フードコートを探してみました。
期待通り、地下にはフードコートがあります。
北朝鮮冷麺のお店までありました。チェーン元は、南北首脳会談でふるまわれた玉流館です。
日本ではさすがに見られませんね。
しかし、ここは中国。食べるのであればやはり中華一択でしょう。
おいしそうな匂いの定食屋さんが入っていました。
おばちゃんがアグレッシブに手招きをしてくるので、ありがたく便乗させてもらいました。
「おススメはこれだよ!」といって、よだれ鶏定食を指さしてくれました。
「好吃吗?(おいしい?)」と聞いたら「真好吃(おいしいよ!!)」とのことだったので、素直に注文することにしました。
トラベルグルメレーティング【#008】南京市内フードコートのよだれ鶏定食
- 味:★★★★★
- 辛さ:★★★★
- 安さ:★★★★
- 量:★★★★
- 親切度:★★★★★
総評:★★★★
値段:24元(約400円)
場所:地下鉄新街口6番出口付近のショッピングモールにあるフードコート
コメント:唐辛子系のヒリヒリ、ピリピリとした辛味とはまた違って、駆け抜けるようなさわやかな辛さと、深い甘みが共存していました。食べ終わった後も、辛さが後を引かず、ストレスなく食べることができます。
備考:よそから来たというと、「よくきたね!」と、ジュース1本オマケしてくれました。
20:30 ホテル横のスーパーでマーケティング調査
明日は4時起きなので、早目にホテルへ帰還し、寝てしまうことにしました。
ホテルの隣に小ぢんまりとしたスーパーがあったので、毎度恒例のマーケティング調査を始めました。
瓶ビール3元、紹興酒18元、ミネラルウォーター2元、カップラーメン4元。
これだけ買って37.6元(約600円)。
中国の食料品の安さを肌で感じました。
なお、洋酒などの輸入品は日本と同等以上の値段でした。
振り返ってみて
私は常々、旅は厳しさの中に楽しみがあるものだと思っていますが、今回の旅は、珍しく辛さが先立ちました。
やはり、移動距離が長すぎたのでしょうか。それとも、歩きすぎでしょうか。
分煙という概念がないため、街中がタバコの臭いだらけだったことも、不調の原因かもしれません。
旅はまだ続きます。