南京から上海までの道のりは、高速鉄道が便利です。
今回の記事は、早朝の南京市内から、高速鉄道を使った、上海へのアクセスがメインです。
旅情を味わいたいのであれば、普通列車もよいのですが、夜行列車や寝台車で行くには、若干距離が物足りないところです。
中国の普通列車は、寝台以外の席を購入すると、不当に占拠されていることが多いので(きっぷを見せればどいてくれますが)、短~中距離の旅行であれば、素直に高速鉄道を使ってもよいかもしれません。
きっぷの買い方などは、2日目を参考にしてください。
前のお話:【中国】北京から上海まで陸路で。南京行きの寝台列車で目が覚めて。【2日目】
目次
旅日記3日目:夜明けと共に南京の街を出てゆく
※2018/10/8現在 1CHY(人民元) = 16.35JPY(日本円)
旅の軌跡
※この日はネット環境なしのため、タイムラインがありません※
04:00 無事に起床して出発
夢見が微妙に悪かった気がしますが、静かなホテルだったからか、割とスッキリ目が覚めました。
夜明け前の南京市内は、ひっそりと静まり返っています。
まあ、当たり前ですが。
始発前のシンジェコウ駅です。
南京駅方面は6:33始発とのことで、7時発の電車には、やはり間に合いそうにありません。
下見していた通り、東側の道路に面したバス停へと向かうことにしました。
南京は横断歩道が少ないようなので、地下通路など、渡れる場所で渡るのが吉です。
バス接近を知らせる電光掲示板が消えています。
節電目的でしょうか。
この時点で4:30ですが、無事にバスが来るのか不安になってきました。
一応、時刻表では4:30から動いているようですが。
うーん、やっぱり不安。
向かい側ではバスも走っているし、まあ何とかなるでしょう。
そうこうしているうちに、無事33系統のバスがやってきたので、ほっと一安心でした。
言葉は通じなくても、黙って2元を放り込めば乗せてくれます。通貨には言語の役割もありますね。
文章で書くと軽い感じですが、この朝はかなり不安が強かったです。
バス待ちに先客がいなかったら、歩き始めてしまったかもしれません。
車内は早朝にもかかわらず、半分以上席が埋まっていました。
途中の玄武公園で、大勢降りたところを見ると、皆さん朝の散歩でしょうか。太極拳とか、朝早いイメージです。
途中、行商らしきおじさんが、乗り過ごしたようで、「ここで止めてくれ」といった感じで運転手に呼び掛けていましたが、華麗にスルーされていました。
運転手さん、業務に忠実ですね。というか、真面目でもなければ、こんな早朝からバスの運転手はできないのかもしれません。
05:00 早くも南京駅に到着
バスに乗ること15分ほど。
色々心配しましたが、着いてしまえばあっけないものです。
人、多いです。
中国人は眠らない人種なのでしょうか?
と、思いきや、切符売り場の前で雑魚寝している人もいました。
始発待ちでしょうか。
朝からやたら並んでいます。
早朝は窓口が少ないようで、切符をさばくのにも時間がかかっています。
やはり、前日に購入しておいて正解でしたね。
05:15 南京駅構内入場
駅への入場は、1階からエスカレーターを上がった先にあります。
中国全土の話ですが、駅に入る前には切符と身分証と荷物のチェックがありますので、パスポートを用意しましょう。
面倒かもしれませんが、変なものを持って入る人がいなくなるだけ、海外旅行者としては安心だと思います。
皆さん旅の装いで入場しています。
中国語で曜日は【星期(シンチー)】です。
【星期一】が月曜日で、【星期六】が土曜日、日曜日は【星期日】です。
中国旅行の際には覚えておくとよいでしょう。
改札が開くまで、相当時間があったので、駅構内を散策することにしました。
安心したらお腹が空いてきたこともあります。
朝から空いているのは、だいたいヌードル系のお店でした。
中国の朝食は麺が主流なのでしょうか。
色々迷いましたが、入り口近くの回味というお店にしました。
南京市内で度々お目にかかった、鴨の血ゼリーの入った麺料理です。
南京名物ということなので、食べてみることにしました。
食べたことのないものを食べるのも、旅の醍醐味ですよね。
メニューにでかでかと「酸辣」の文字が。
お店のイチオシメニューな気がしたので頼んでみました。
多めの野菜と、鴨血ゼリー少々、春雨ヌードルのような麺が入っています。
想像していたよりは、肉寄りの食感でした。
臭みなどはありません。
トラベルグルメレーティング【#009】回味の酸辣鴨血粉̪絲湯
- 味:★★
- 安さ:★★★
- 名物度:★★★
- 優しさ:★★
- 酸辣度:★★★★★
総評:★★★
値段:21元(約350円)
場所:南京鉄道駅の保安検査場を抜けて左手すぐ
コメント:文字通り汗が出るほど辛い……そしてしびれるほど酸っぱい……!肝心の鴨血ゼリーの味がかすむほどのインパクトがありました。ディープすぎる中華の洗礼に、朝からノックダウンです。
備考:早朝(5時頃)から営業しています。
色々思うところはありましたが、おなかは膨れたので、飲み物を調達することにしました。
飲み物販売の出張所があったので、豆乳をいただくことにしました。
甘く味付けしたホット豆乳です。
先ほど味わった酸辣系の激辛味から一転して、優しく穏やかな味わいに癒されました。
6時台になると、出発の人々でにぎわってきました。
写真は上層階から撮影しています。
下層は普通列車の待合ロビーのようです。
こちらは高速鉄道の待合です。
正面ベンチはそこそこ人がいましたが、奥のほうは静かなものでした。
この頃ちょうど、朝日が昇ってきました。
06:40 上海行の高速鉄道に乗り込む
そろそろ改札が開く時間になりました。
中国の鉄道は、列車が到着して、搭乗準備が済んだ後に改札が開きます。
手元のきっぷを確かめてみると、上海まで高速鉄道で139.5元。日本円に直すと、およそ2,300円です。
南京から上海までは、2時間足らずの距離なので、東京から名古屋へ行くくらいでしょうか。
日本の新幹線だと10,000円ですね。
改札が開くと、めいめいホームへと降りていきます。
台湾を旅行した時は、ホームの表記が【月台】だったな、と思い出しました。
関連記事:【台湾】台北から台南へと台湾鉄道小紀行。台中へのきっぷは残っているか?【2日目】
ホームにはすでに列車が待機していました。
この日は、出発の20分くらい前に改札が開いていました。
出発まで時間があったので、前のほうから写真を撮らせてもらいました。
朝日に輝く流線形のシルエットが美しいです。
断っておきますが、私は鉄道オタクではありません。
具体的に何がどうスゴイのか聞かれてもわかりませんので、あまり深く突っ込まないようにしてください。
どちらかというと、線路の向こうの景色が好きなだけです。
などと言いつつ、もったいないのでもう一枚撮ってしまいました。
最近、乗り鉄兼撮り鉄になってしまうのではないかと危惧しています。
この翌週、改めて日本の新幹線に乗りましたが、乗り心地が本当にそっくりです。
私としては、それなりに速くて快適なら、特段こだわりがありません。
その上、広い窓側の席に座れれば言うことなしです。
08:40 上海駅到着
わずか1時間40分で上海駅に到着しました。
中国有数の都市だけあって、降りる人も多いです。
これだけ安くて速いなら、たまには高速鉄道も悪くないですね。
でも、正直に言うと、向こうの線路に止まっていた、普通列車に乗りたかったところです。
走り去っていく普通列車。
こんなの撮っているの、ホーム上で私だけでした。
今回は、お目当ての品物がありますので、上海駅の南、豫园方面へと向かいます。
バスの路線がイマイチわからなかったので、地下鉄を選択しました。
中国の主要駅はきっぷを買うのにも一苦労です。
車内に鉄道警察らしき人々が同乗していました。
治安が形になって見えるのは、旅行者にとってよいことだと思います。
時間も早すぎたので、少し手前の人民広場駅で下車して、散策することにしました。
レンタルなのか、シェアなのか、傘の貸し出しが行われていました。
日本にもあればいいのに、と思う反面、駅や鉄道関連が民営化された日本では、どこが費用をもつかでもめるでしょうね。
実現しなさそうです。
人民公園方面へと向かう途中の地下街に、近代上海を再現した地区がありました。
日本でいうと、大正から昭和初期の面影があります。
回廊の石畳に、近代の息吹を感じます。
街灯でしょうか、ガス灯でしょうか。
風情があってよいですね。
階段を昇れば人民公園です。
思いもがけず、見ごたえのある観光地に出会えました。
休日の上海市内にはのどかな時間が流れていました。
博物館だと思いますが、朝も早くから行列ができていましたので、さすがに敬遠しました。
コンパス片手にぶらぶらしていると、公園にさしかかったので、休憩することにしました。
上海の緯度を考えると、トロピカルな庭園です。
かと思いきや、中国らしく竹林が現れたりします。
テーマはよくわかりませんでしたが、芝生もきれいに手入れされており、清々しかったです。
警官が見回りしていることもあり、やはり治安の良さを感じました。
朝がすこぶる早かったので、昼前にはお腹が空いて、市中の食堂に入りました。
アルファベットのフリガナ(ピンイン)をゆっくり言えば、普通に注文は通ります。
変な顔されても気にしないことが肝心です。多分、外国人なんだと理解してくれます。
揚州チャーハンを注文しました。
いわゆる普通のチャーハンですが、エビが多めでおいしかったです。
お値段18元(約300円)。
隣のお店のほうが繁盛していましたが、何のお店でしょうか。
繁盛店には基本的に興味がないので、そのまま立ち去りました。
並ぶの、嫌いですので。
食堂から少し進んだ位置に、小紹興なるレストランがあり、懐かしくなりました。
関連記事:【中国】上海から紹興へとローカル列車で行ってきたお話【2日目】。魯迅のふるさと紹興は水と石畳の古都だった。
後から見ると、大世界のすぐ近くですね。
ネット環境がなく、街角の地図と標識とコンパス頼りだったので、さっぱりわかりませんでした。
要所要所に看板があるのはありがたいのですが、漢字圏以外の出身には厳しい環境です。
豫園の地下鉄に着きました。上海老街をはじめとした、中心観光地はすぐそこです。
なお、このあたりには外国人をターゲットにした詐欺があるとの事前情報がありました。
私も声をかけられましたが、「写真を撮ってください!」と言ってスマホを渡してきた後、英語で話しかけてくるという流れでした。
普通の中国人、そこまで英語しゃべりませんし、何よりしゃべる必要がありません。覚えておきましょう。
関連記事:言葉の壁と海外旅行について。英語ができなくても海外に行っていいと思う。
11:00 豫園周辺を散策
地下鉄豫園駅から東側へと進んだ一帯は、豫園と呼ばれる地区で、クラシックな中国風建築物が立ち並んだショッピングスポットです。
地図で指すと、地下鉄豫園駅から出て、まっすぐ東へと進んだあたりです。
中心には豫園商城と呼ばれる、巨大な商店街があり、食べ物やお茶、土産物を中心に、なんでもそろいます。
人手がすごいので、ぶつからないように注意が必要です。
観光案内所もあるので、立ち寄ってみるのもよいでしょう。
真ん中には3階立てのフードコートがあり、手ごろな値段で中華料理を楽しめます。
入り口から入って、好きなおかずを取ってから、出口で精算するスタイルです。
私は中まで入りませんでしたが、遠目にもそこまで高い値段ではなかったようです。
おかずレーンの外では、食べ物とは別に、飲み物が売っています。
ビールや紹興酒などのお酒も売っていました。これらは、3階で確認済みです。
あまりお腹もすいていなかったので、早々にフードコートを立ち去り、前回寄れなかった部分へと入ってみることにしました。
関連記事:【中国】上海から紹興へとローカル列車で行ってきたお話【3日目】。せめてもう一晩紹興で過ごしたかった。
昔ながらの寺院群のようです。たくさんの人がお香を焚いていたので、そこら中もくもくしていました。
これだけ香をくべて、引火したりしないのでしょうか。
なんて思っていると、実際に燃え始めました。
これは、使用済みのお香を燃やしているだけだと思いますが。
12:30 カメだし紹興酒の専門店で太雕酒を購入
さて、一通り時間をつぶしたので、お目当てのものを買いに行くことにしました。
このあたりまでくると、観光客で一杯の豫園から打って変わって、完全ローカルな雰囲気が漂います。
地元住民の生活圏なので、カメラを構える際には気配りが必要です。
アジアの下町が苦手だという人は、豫園商城からまっすぐ南の大通りまで出た後、東へと進んでいくと、左手に四牌桜路が見えてきます。
写真の看板を目印に北上すれば、迂回ルートです。
上海でのお目当て、量り売り紹興酒専門店の、咸享酒荘です。
【かんきょうしゅそう】と読めます。
中国紹興市にある、咸享酒店が名前の由来だと思います。
こじんまりとしな店内には、かめ、カメ、甕。
以前、紹興市にお邪魔した時と同タイプのカメが立ち並んでいます。
奥では店番のマダムがお昼寝をしていました。
たたき起こして買い物しようかとも思いましたが、さすがにかわいそうなので、しばらく周囲を回って戻ってくると、元気に営業していました。
ほしいものを指さして「试喝(シーホー)」とでもいえば、試飲させてくれるでしょう。
10年物の高級酒でも、500mlで20元(約330円)しない程度です。
日本で買うと1本数千円の高級酒です。日本に出回っていないレアものだと、1本1万円近いとか。
広まりすぎるのも嫌ですが、せっかく訪れたので、詳しい場所などを、別記事にまとめます。
関連記事:幻の紹興酒、太雕酒を求めて。実は上海豫園近くでお手軽に買えます。
お店の場所はこのあたりです。
四牌桜路と学院路という道が交わる地点を目指すとよいでしょう。
14:00 疲れてきたので龍陽路のホテルへと
上海の地下鉄は、南京のようなトークンではなく、カード式でした。
南京や紹興とは、市内バスの料金も異なっていたので、都市部の交通手段は、街ごとに別の会社が運営しているようですね。
この日は、前回の中国訪問と同じく、龍陽路駅近くに宿を取りました。
向こう側にリニアの改札が見えます。
南側の改札を抜けると、食べ物屋が立ち並んでいます。
上層階は、リニアモーターカー「Maglev」のホームへと向かう階段があります。
地下鉄に比べると割高ですが、朝早い便で浦東空港を出発する場合、10分程度で空港まで着くので、使い方によっては非常に有用です。
15:00 龍陽路近くのホテルで休憩
前回の上海訪問時同様、ジンジャンインを利用しました。
龍陽路周辺に宿をとっている時点で、立地重視であるため、駅近のホテルでほぼ一択でしょう。
参考:ジンジャン イン (錦江之星) 上海 マグレブ ステーション (Jinjiang Inn Shanghai Maglev Station) - agoda
前回同様清潔な部屋ですが、冷蔵庫がないようです。
この日は早朝から動きっぱなしだったので、部屋に来たとたん、観光する気が霧散していました。
関連記事:【中国】上海から紹興へとローカル列車で行ってきたお話【3日目】。せめてもう一晩紹興で過ごしたかった。
代わりに思い切って休息をとることにしました。
せっかくなので、買ってきたばかりの紹興酒を空けてしまうことにしました。
並べると醤油かソースのようです。
注いでみると、更に醤油のような趣ですが、実際にはお酒です。
紙コップに移しただけで、蜜を思わせる芳醇な香りが漂います。
一口飲めば、名酒ならではの丸みを帯びた甘味と、品の良いダシにも似た「うまみ」が口中に広がります。
個人的には、よく熟成された紹興酒以上のお酒は、今のところお目にかかったことがありません。
17:30 竜陽路駅付近で食べ物を調達
アテもなしにお酒を飲むのもさみしいので、龍陽路駅周辺で、お土産探しもかねて、食べ物を探すことにしました。
写真は、駅と大通りを挟んだ場所にあるバルクスーパー(コストコのようなもの)で、メトロというお店です。
食料品から衣料まで、なんでもそろう上に、値段もお手頃です。お土産選びにちょうどいいでしょう。
個人的なおススメは、日本で買うと高い、欧州系の輸入ビールと、花椒を代表としたスパイス類です。
一通り店内で買い物をして出てくると、すでに日が暮れていました。
龍陽路駅の中庭は、食べ物屋が立ち並んでいるので、食いっぱぐれることはないでしょう。
例によって、指差し注文で何とかなりそうなお店を選びました。
帰り道、駅の北口向かい側の路上で、100メートル先からも分かる、独特の香りが立ち込めてきました。
案の定、臭豆腐が売っていたので迷わず買って食べました。お一つ7元で、市内中心部より3割ほどお安いです。
ハマると抜け出せませんね、臭豆腐。思い出も手伝って、紹興酒を飲むと臭豆腐を探してしまうくらいです。
トラベルグルメレーティング【#010】龍陽路駅向かい側路上の臭豆腐屋台
- 味:★★★
- 安さ:★★★★
- 食感:★★★★
- 病みつき度:★★★★
- 臭い:★★★★★
総評:★★★★
値段:7元(約120円)
場所:龍陽路駅北側の大通りを挟んで北側の路上(地下通路を上がった場所)
コメント:納豆やらくさややら、身近に臭い食材はたくさんありますが、これまた強烈な臭いを放つ料理です。味や食感は、一口サイズの揚げ出し豆腐ですが、臭いだけは破壊力抜群です。中国人の友達に聞いたところ、自国民であっても食べられない人がいるほどの臭さだそうです。それでも、臭いものほど美味いという謎の法則が当てはまり、一度食べると病みつきになる人もおり、筆者もその一人です。
備考:個人的には、【ドリアン>>>>>>>臭豆腐>ブルーチーズ>納豆】くらいの位置づけです。
関連記事:【中国】上海から紹興へとローカル列車で行ってきたお話【2日目】。魯迅のふるさと紹興は水と石畳の古都だった。
振り返ってみて
ここまでの3日間、これまでにないほどトラブルばかり続きました。
旅の知識も、鍛えた体も、英語や中国語の知識も、どれか一つ欠けたとしても、ここまでたどり着くことができなかったでしょう。
歩むことを拒みたくなったときも、今までの経験と、ここまで学んできた知恵に支えられて、無事に旅を終えることができました。
明日は早起きしなくて済みます。旅の終わりに紹興酒を飲みながら、中国最後の夜が更けていきます。